【建築家のコラム】Vol.32

2017.02

雑誌「チルチンびと」を発行している風土社から、建築家大野正博さんの「建築家の心象風景」という自伝的写真集が出版されることになり、そのお祝い会が先月18日東京の私学会館で催されました。
普段あまり饒舌という印象がない大野さんも、その日ばかりは壇上にて自らの生い立ちなどを話されました。
写真集にも掲載されていますが、大野さんが育ったのは東京葛飾柴又。
大野さんから語られる風景は、まさに映画「男はつらいよ」で、フーテンの寅さんが生きている葛飾柴又のシーンそのものでした。
人には誰しも原風景があります。
作家の宮本輝さんがTVの対談番組で「原風景は一つではなく人は年齢の3倍くらいの原風景を持っている」と話されていました。
しかしその中でも根本となっているのは人間形成されたとき、世の中や他人を知ったころにさかのぼるとも話していました。
宮本さんにとってのそれは小学1~3年生のころ。
それが映画にもなった「泥の河」の世界という事でした。
昭和30年代と今では社会の環境が大きく違うので、現代の子供たちにそのまま当てはまるということはないかもしれませんが、今の子供たちの原風景を私たちは創っているという想いだけは持ち続けたいものです。