【建築家のコラム】Vol.27

2016.09

先日、人気女流作家の時代小説を読んでいて、アレッと思ったことがあります。
家を普請するくだりで「頭領」という文字が出てきたからです。なにが不審なの?とお思いの方もいらっしゃることでしょう。
私も含め建築、とりわけ住宅に関係する仕事に就いていますと「とうりょう」と聞くとすぐに「棟梁」を思い浮かべてしまうからです。
ましてや普請の場でのこと、大工の棟梁が現場を仕切る場合が普通だと思います。
同じ意味として「頭領」を使用したのか、または江戸時代は「棟梁」ではなく「頭領」と呼ぶのが一般的だったのか。
他にも辞書を引くと同じような意味では「統領」という言葉もあります。
それぞれ微妙に意味合いが違うようです。
なかなかもって漢字そして日本語は難しいですね。
ところで、大工の長を「棟梁」と呼びますが、建築関係のすべての職方がそう呼ぶわけではありません。
基礎工事や棟上げを行うとび職は「頭(かしら)」その他左官職など多くは「親方(おやかた)」と言ったりします。
現代ではほとんどが会社組織になっていますので、現場でそのような呼ばれ方は少なくなってきましたが「棟梁」という言い方は今でも一般的に使われています。
相撲の「親方」踊りなどの「師匠」同様「棟梁」という呼び名も残っていってほしいものです。

みずさわ